戸外の近隣の工場からの振動騒音が気になって眠れないというご相談をいただきました。現場に確認に行くと、私と騒音測定担当の建築士の耳には聴こえない音が、寝室を使っているご家族のみに聴こえるということでした。
窓の二重サッシュを閉めると、騒音は非常に小さくなりましたが、騒音測定器による精密測定を行ったところ、騒音の主成分は 31.5Hz~125Hzにシフトしており、大半が低周波音という分析結果が出ました。低周波がどの程度気になるかは、非常に個人差が大きく、立ち会った3名の耳には殆ど聴こえないのに、依頼者の耳には、はっきりと聴こえるのでした。

低周波騒音は、少々の吸音材・遮音材を使用した程度では軽減することはできないため、空洞部分を吸音材でふさぎ、下地に遮音・制振材を全面的に貼り付け、二重の下地を組み、さらに吸音材を充填して2層構造にし、最後に遮音材とボードを重ね仕上げることにしました。
天井と床にも制振材を重ね、天井は従前のようにボードとクロス仕上げに、床は遮音マットも敷いて、タイルカーペットを元通りに敷きました。
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防音工事が完了して、依頼者からご報告をいただきましたが、天井や壁・床からの唸るような騒音は聴こえなくなり、夜間の振動音も気にならないレベルにまで軽減されて、眠れるようになったそうです。防音工事は大成功だと思います。
これは、吸音材、制振材および遮音材の総合力による防音効果だと考えられます。遮音材と吸音材だけでは、ここまで騒音を遮断することは出来なかったと思います。まさに相乗効果と言えるでしょう。